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ラインスキャンカメラとは

撮像機器について

撮像機器は「画像を撮る」ために必要な機材のことをいいます。
撮像機器のメインとなる3つの部品をご紹介します。
camera

【カメラ】

カメラの最も本質的な機能、それは「光を受け取る」ことです。
フィルムの場合は化学反応で、
センサの場合は電気信号で、
それぞれ光を受光し画像を出力します。
人の目でいうところの視神経の部分の役割を担っています。
今のカメラはそれ以外の機能がついているものもありますが、その内容はメーカーー・モデルごとに変わってきます。

lens

【レンズ】

レンズの役割は「光の屈折を利用して焦点を合わせる」ことです。
人の目でいうところの水晶体の役割です。

ほとんどカメラの一部といっても過言ではない重要部品で、一般消費者向けの場合はカメラと一体型になっている場合も多いです。産業用製品はカメラとは別にレンズを選定することがほとんどです。

light

【照明】

照明の役割は「光の量を増やす」ことです。

焦点のあった画像を得るためには、カメラの絞りで視野を狭くしたり、レンズでズームしたりしますが、その場合カメラのフィルムやセンサまで到達する光の量が少なくなってしまい、暗い画像になる場合があります。その場合、照明を使い、最終的にちょうどよい明るさになるよう、光の量を調整します。

カメラのセンサ
カメラのセンサ(もしくはフィルム)状に、赤の矢印で示している像を結ぶとピントのあった画像が撮像できます。 像ができる位置がセンサではなくその前後にずれてしまうと、ピントがぼけた画像になってしまいます。

カメラの種類

area

【エリアカメラ】

一般消費者向けカメラは基本的にエリアカメラになります。
スマートフォンに内蔵されているものやコンパクトデジタルカメラもエリアカメラです。
一回の撮像で一枚の画像が撮れます。
静止物や立体物の撮像に適しているカメラです。
モノクロ/カラー両方があります。

line

【ラインカメラ】

ラインカメラはその名の通り、ライン状に撮像するカメラです。
一枚の画像は一本のライン状なので、
多くの画像をつなげてエリアカメラと同じような平面画像を作成します。
動いているものを検査をしたり、大きいものを高解像度で撮影する場合に使用されます。
ラインカメラにもモノクロ、カラー両方があります。

【特殊カメラ】

可視光では見えないものを可視化するという特殊なカメラも存在します。
偏光カメラ、ToFカメラ、サーマルカメラなど、それぞれ用途に合わせて選定します。
可視光波長を撮影していないので、モノクロやカラーの区別はありません。
(色は可視光の波長分類のため)

ラインスキャンカメラの特徴

ラインスキャンカメラは、「カメラの種類」で説明したラインカメラのことです。
ラインカメラのセンサー部分は1ラインに並んでいて、画素数は並んでいるセンサの数を指します。
画素数

画素数は1K=1024画素で呼称します。上記の例は2048画素のもので、省略して2Kと表記します。

エリアカメラは、画像1フレーム単位での撮像に向いていますが、連続的に流れるシート状のものの撮像には向いていません。ラインスキャンカメラは、ガラスやフィルム、樹脂板などの連続的に流れるシート状のものや、円筒形部品の撮像を得意としており、
画像を連続処理することで大きな一枚画像を取得することができます。

エリアスキャンカメラ

ライン方式
全体の画像を撮像
光学設定に制限が多い
設置スペースに制限が多い

ラインスキャンカメラ

エリア方式
平面画像を取得
光学設定に制限が少ない
設置スペースに制限が少ない

このようにエリアカメラでは実現できない撮像レベルを、ラインスキャンカメラを使えば実現することが可能です。

しかし、ラインスキャンカメラはデメリットとして、取り扱いの難易度が高い(ピント合わせが難しい、複数台を並べる場合の位置合わせが難しい)ことがあります。
また撮像対象物を移動させる治具や、明るい照明(露光時間が短く画像が暗くなるため)が必要になります。

上記のメリットデメリットを考えたうえで、カメラを選定してください。

ラインスキャンカメラの種類

ラインスキャンカメラには、モノクロのものとカラーのものがあり、それぞれ複数の種類があります。

モノクロ

1ライン
センサが1ラインのみの、シンプルな構造のカメラ
mono 1
マルチライン (2ラインもしくは4ライン)
センサが2ラインもしくは4ラインありますが、それぞれ1ラインごとに出力します。
出力後データをデジタル加算することで高感度を実現しています。
位置のズレを調整するためにラインディレイ機能が搭載されています。
mono 2
TDI (Time Delay Integration)
センサが32, 64, 128ライン並べてあり、垂直方向にデータを足し合わせて高感度にする仕組みです。
電荷を物理的に受け渡し足し合わせて最下段のラインから全画素分データを出力します。
mono 3

カラー

1ライン
1つのラインセンサの上に、赤/緑/青のフィルタが右のように並んでいます。3画素が1unitになっているため色ズレがあり、補正が必要ですが、他のカラーカメラに比べて低コストです。
color 1
2ライン (Bayer)
2つのラインセンサの上に、赤/緑/青のフィルタが右のように並んでいます。
人の視感度が緑に対して高いため、緑の占める割合が多くなっています。
輝度差のあるエッジ部分で偽色が生じるため、補間データを生成して偽色を低減します。
color 2
3ライン
各ラインセンサの上にそれぞれ赤/緑/青のフィルタがあり、3つのラインセンサを並べています。
フィルタなしのセンサを加えた4ラインのものもあります。
各ラインの場所のずれを調整するためにラインディレイ機能がついています。
color 3
3板式
ラインセンサとプリズムをそれぞれ3個搭載することで、ラインディレイ機能による調整を不要にしています。
プリズムを内蔵しているため、その他のカラーカメラに比べてサイズが大きく、 高額になります。
color 4

ラインスキャンカメラの選び方

ラインスキャンカメラを選ぶ時には下記項目を検討する必要があります。

画素数

対象物全体の幅

【a. 対象物全体の幅】

例えば上の足あとを撮影する場合、
対象物がかけることなく撮影範囲に入る必要があるため、ラインセンサの方向の長さ(幅a)を測定します。

対象物内の最小検知サイズ

【b. 対象物内の最小検知サイズ】

足跡内で最も小さい部分は小指部分です。
縦/横のうち短いほうの長さ(最小検知サイズb)を測定します。

a, bの2つがでれば、そこから必要なカメラの画素数を計算することができます。

になります。

※上の式で最小検知サイズを5で割っていますが、この「5」は「画素分解能」と呼ばれる数字です。
最小検知サイズのものを画素をいくつ使って撮影するかを検討し、それによってどれだけ解像度の高い画像を取得するかを決めます。
産業用で欠陥検知を行うような場合、まず画素分解能を5で検討し、撮影した画像を見ながら詳細を検討していくのが一般的です。

ラインレート

ラインレートとは、1秒間にスキャンできるライン数を示す値です。ラインスキャンカメラは撮像対象もしくはカメラが移動して撮像する必要がありますが、その移動速度を搬送速度と呼びます。搬送速度とラインレートが適切でないと下記のように画像の伸び縮みが発生します。

適切なラインレートの場合

image5

ラインレートより搬送速度が遅い場合

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ラインレートが搬送速度より遅い場合

image9

ラインレートを計算するために必要なのは搬送速度と視野幅です。

の式を使って計算します。各単位の変換に気を付けてください。
上記計算式で算出したラインレートより速い(大きい)数値のカメラを選べば大丈夫です。

【例】 搬送速度60m/min、視野幅が200mm、カメラの画素数が2Kの場合

\cfrac{60 × 1000(mm)}{60 (sec)} ÷ \cfrac{2000(mm)}{2048 (画素)} = 10,000(Hz) = 10(KHz)

インターフェース

ラインスキャンカメラで使用されている主なインターフェースは、下記3種類です。

CameraLink ConnectorImage002
GigEVISION ConnectorImage002
CoaXPress ConnectorImage002

主要な性能についての比較表になります。
★が多いものほど速い、長い、安定という意味になります。

画素数とラインレートが決まっていると、該当機種が対応しているインターフェースが限られることも多いですが、
もしインターフェースを選定する場合は、下記2つのポイントを確認してください。

finger
カメラとコントローラ(PC)までの距離
CameraLinkは最長10mまでしかケーブル長がありません。 それ以上の距離の接続が必要な場合はGigE VisionかCoaXPressを検討する必要があります。
finger
必要な画像処理速度(タクトタイム)
検査速度(タクトタイム)が速い場合は、転送速度が速くないと画像処理が滞ってしまいます。
処理速度に問題がないか検証するようにしてください。

ラインスキャンカメラの用語集

ラインディレイ機能

ラインセンサが複数あるカメラ(マルチラインカメラや3ラインカラーカメラ)にある機能です。
同じ位置で3つのデータが重なるよう、delayパラメータを設定し、時間軸で同じ位置になるように調整します。

ラインディレイ機能

画素分解能

最小欠陥を写すのに必要な画素数を表します。
最小欠陥についてどの程度の判断を行うかによって、数字が変わってきます。

画素分解能

画素分解能を計算するには、上記最小欠陥の大きさX(mm)と必要画素数が必要です。

必要画素数は下記のように考えます。

  • 欠陥の有無を写したい場合:1画素
  • 欠陥の大きさを写したい場合:4画素
  • 欠陥の形状を写したい場合:形状を把握するための画素数

ラインレート/スキャンレートと搬送速度

ラインレート/スキャンレートはスキャンする速さや時間を指します。スキャンレートの逆数がラインレートになっています。
各表記の違いは下記の通りです。

ラインレート

  • 1秒間にスキャンできるライン数を示す
  • 周波数単位(kHz)で表記される
  • 業界的にメジャーな表記方法

スキャンレート

  • 1ライン分のスキャンに必要な時間を示す
  • マイクロ秒単位(μs)で表記される
  • 過去NEDの仕様書に記載されていた表記方法

カメラは設定された周期で画像を撮像します。対象部材が一定の速度で搬送されると撮像画像も安定した画像となりますが、搬送速度が変化する場合は、ラインセンサカメラで撮像すると撮像画像のY方向のサイズ(流れ方向)が搬送速度の影響を受けて、伸びたり縮んだりしてしまいます。

CameraScanImaging Image002

このような場合、検査結果に影響が出ますので、カメラの撮像タイミングと部材搬送との同期をとる必要があります。
同期をとる方法としては、搬送部にエンコーダを設置し、そのエンコーダからのパルスのタイミング毎に撮像を実施することで、搬送速度変化に影響を受けない画像を取得することができます。

用途例

ラインスキャンカメラの用途例​

ラインスキャンカメラを用いた検査事例をご紹介いたします。

WidthMeasure-ico

幅計測

対象部材(ゴム、鉄、フィルム、紙など)の幅を連続測定します。

対象部材がカメラと照明の間を通過する時に、照明からカメラへ入射する光を遮ります(遮光)。
この遮光された部分をカメラに搭載されている受光素子(センサ)で感知し、その遮光された画素数と画素単位の重みからの計算で部材の幅を計測します。
幅の広い対象部材や測定精度をあげたいなど場合は、カメラの台数を増やしてシステムを構築します。

WidthMeasure CAM1 001
WidthMeasure CAM1&2 001
NGDetect-ico

欠点検出

対象部材を連続監視し、穴あきや異物などの欠点部を検出します。

対象部材と部材内に発生する欠点(穴あきや異物混入)部に差分がある場合に検出します。
差分が大きくなればなるほど検出が容易になります。また検出できるサイズや数は装置の能力によります。
異物などの個所で、製品部(正常な部分)と差分がある時も検出ができる場合があります。

DetectHole CAM1 001
DetectFO CAM1 001
AlimentCheck-ico

位置不良検出

対象の位置を監視し、ズレなどの不良部を検出します。

対象の各位置(エッジや中心位置)を検出し、基準との差が設定値以内であるかどうかを判断します。

部材に印刷されたラインの位置検査
MisaliLine CAM1 001

搬送される部材の位置検査

MisaliEdge CAM1 001

貼り合わせ部材の不良検出

MisaliOBJ CAM1 001
NumCount-ico

個数計数

視野内を通過する対象製品の個数を計数します。

量産される製品の個数を計数します。製品がカメラの視野内を通過する際に対象画素部分が、入光⇒遮光⇒入光と連続的に変化するので、その大きさや時間などで判定を行い、カウントしていきます。

CountOBJ CAM1 001
Inspect-ico

表面検査装置

対象物の表面を検査し、欠点や異物などを検出します。

測定対象物に照明光を照射し、反射光をカメラで受光することにより物体の表面状態の情報を取得し、画像処理にて検査を実施します。
ラインセンサカメラでは円筒形状の対象物を回転させながら撮像することにより、対象物の表面を平面をして取得することが可能です。円筒形状のワーク(シャフト部品など)や球体形状のワークの物体形状による陰影の影響を軽減させて検査することができます。

InspectRotate CAM1 001
InspectSheet CAM1 001

画像処理システムについて

特殊カメラの種類

ToFカメラ
ToFカメラは3Dカメラと呼ばれるもので、3次元データ(横、縦、奥行)を出力するカメラです。
深度マップ(Depth Map) と呼ばれるセンサの2次元座標系に深さ方向の情報を持たせた3次元データと、点群データ(PointCloud)と呼ばれるX,Y,Zの基本的位置情報を持つ3次元データがありますが、後処理の仕方の違いによるもので、ToFカメラが取得する情報はxyzの座標情報です。
光源から発せられた光(レーザ、赤外線等)が対象物体から反射してセンサに戻るまでの時間を測定します。
予め校正したテーブルを用いて、時間を距離に変換し、3次元データを構成します。
良い点としては設置時のキャリブレーションが不要複数台のカメラで死角を補うことが可能というところ。
苦手とする点は長距離の精度が良くない光を吸収/反射する対象物体の検出が難しいというところが挙げられます。
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3Dキャリブレーションを行うと、カラーの2次元画像に高さデータを重ねた3Dモデルを作成することができます。
下の画像のリンクをクリックすると、3Dモデルが確認できます。
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偏光カメラ

偏光という光の特徴を利用して、通常では判別できない物体の特徴を捉えるカメラです。

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光は波長や方向があるのは ご存じの方も多いと思います。 上のような光の反射を示した図は 理科の授業の鉄板ですよね。
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実は光にはそれ以外に「振動方向」というものがあります。
左の光を示す矢印は光の束を示していますが、その1つの束を拡大すると、上の図のような感じ。
簡易的に2つしか示していませんが、実際は360°いろんな方向に振動しています。
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偏光カメラのセンサーが受光するのは そのうち1つの方向の振動のもののみ。
そして、その振動の光学特性 (反射率、透過率等)はその素材によって差異があります。
この後の動画では水と砂糖水を透過させていますが、透過するものがただの水の場合と砂糖水の場合で振動方向によって、透過する/しないの差異があり、その違いを可視化しているのです。
偏光フィルターというものもありますが、そちらはレンズに取り付けます。
偏光カメラと変更フィルターの違いは下記になります。
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【偏光カメラ】

偏光カメラは左のようにそれぞれ方向の異なる光を受光するセンサーを組み合わせて4つで1組になって並んでいます。
それぞれの素子で受光したデータを合成処理して、画像を出力します。
AOP, DOP, DAOPと撮像後に見たい方向の光の像のみを選択できます。

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【偏光フィルター】

偏光フィルターはレンズにつけて使用します。
1方向のみの光を通過させるようになっていますので、カメラのセンサには1方向のみの光が届きます。
もちろん出てくる画像も1方向のみ。

近赤外線カメラ
赤外線はよく耳にするけど、赤外線を見るとはどういうことなの?という方、多いのではないでしょうか。
赤外線は電磁波の一種。そもそも光(可視光)自体もそうなのですが、X線、紫外線、可視光、赤外線全てが波長違いの電磁波です。
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引用:https://thinklucid.com/ja/atlas-swir-ip67-camera/

赤い物体は上記のどの波長の電磁波を吸収する物体でしょうか?青い物体はどうでしょうか??
赤く見える物体は緑(490~550nm)、青い物体の吸収波長はオレンジ(590~640nm)の電磁波を吸収しています。
吸収された波長の電磁波は人の目に届きませんから、人の目に届くのはその物体が反射する波長の電磁波となり、人は反対色(正しくは補色)の物体として認識しています。
カメラも同じでして、物体に反射した電磁波を受光し画像にします。
吸収波長は物質によって決まっているので、赤いものは時間がたっても赤いもの。
ずっと緑の波長を吸収し続けています。
ちなみに可視光線を全部吸収するのが黒い物体、全部反射するのが白い物体です。
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では赤外線の場合で考えてみましょう。
物体は可視光以外の電磁波も、特定の波長を吸収したり反射したり透過したりしています。
近赤外線カメラというのは、近赤外線を受光するセンサを使用しているカメラですので、近赤外線を反射(放射)する物質が白く、吸収する物体が黒く写ります。
代表格となるのが水(近赤外線を吸収するため黒抜けする)100~300℃の物体(近赤外線を放射するため白く写る)となります。
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左のモノクロ画像は可視光カメラ、右が近赤外線カメラです。傷んでいる部分がはっきり見えますね。

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水分量が多い異物が黒く、乾いたコーヒー豆は白く写っています。

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パッケージ印刷で中身が見えない袋でも、近赤外線を通せば内部に充填されているものの状態がはっきり写ります。

引用:https://thinklucid.com/ja/atlas-swir-ip67-camera/

画像処理システムの機器構成について

ハードウェアについて

ラインセンサカメラを使用する場合、一般的には下の様な製品が必要となります。
カメラにレンズ(+フィルター)を装着し、I/Fボードが搭載されたPCと専用ケーブルで接続します。
照明で照射された対象物からの光をレンズを通してカメラのセンサが受光し、輝度値をデータとしてコントローラのインターフェースボード( 以下I/Fボード、フレームグラバ―ボードともいう)へ転送します。そのデータをPCに搭載されたソフトにて画像処理を実施して、様々な結果を取得したりします。

ハードウェアについて

レンズについて

レンズマウント

カメラにはレンズを取り付ける部品であるレンズマウントがあり、カメラに搭載されている素子のサイズなどの関係により様々な種類があります。
当社のカメラでも、 Cマウント、Fマウント、M72マウント、M84.5マウント、FDマウントの種類があり、使用するレンズもマウントの仕様と合わせる必要があります。
(カメラの型式の中にマウントの種類が分かる部分があります。例:RMSL4K100CL-V1-F-XXX のFの部分)

C mount

Cマウント
(画素サイズ7μm)

F mount

Fマウント
(画素サイズ7μm)

M72 mount

M72マウント
(画素サイズ3.5/7μm)

M84.5 mount

M84.5マウント
(画素サイズ10μm)

レンズ倍率

解像度としては十分な画素数のカメラを購入したのに、期待している解像度が出ない!どうしたらいいの!?というお問い合わせもしばしばいただくもの。
こちらは全ケースがレンズの問題というわけではありませんが、
レンズ選定に問題があった⇒レンズを変えたらOKというパターンは結構多いです。
というのは、画像の解像度にはレンズの倍率(性能)が大きくかかわってくるからです。

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高倍率の時
低倍率の時
レンズの種類

一口にレンズと言っても種類は多岐にわたりまして、種類を変わると見え方が全く変わってくるので慎重に検討する必要があります。
下に挙げたのは産業用に使用するレンズの代表的な特徴です。
お悩みの際はご相談いただければサポートさせていただきます!

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マクロレンズ
用途:近接撮影
長所:小型・軽量
短所:一定のWDでしかピントが合わない
視野範囲(倍率)が限定される
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固定焦点レンズ
用途:産業用途でのメインレンズ
長所:視野、WDが任意に変えられる
低価格
短所:近接域の周辺歪みが大きい
周辺寸法が変動してしまう
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テレセントリックレンズ
用途:寸法計測など
長所:中心と端で見え方が同じ
短所:サイズが大きい
画像が暗くなる
非常に高価
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ラインカメラ用レンズ
用途:ラインカメラ撮影
長所:イメージサークルが大きい
被写界深度

被写界深度とはピントが合う範囲のこと。
近くのものも遠くのものもピントが合った画像が撮れるとき「被写界深度が深い」、
短い距離のものしかピントが合わないとき「被写界深度が浅い」と言います。
下の項目は被写界深度とトレードオフの関係にありますので、理解しておくと検討しやすいと思います。

202107 8A
F値(絞り値)
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照明について

照明の種類
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バー照明

明るさが足りない時最初に検討する照明。目視検査でよく使われる。

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ライン照明
ラインカメラで撮像する時使用することが多い。
拡散光に邪魔されにくく、横幅のサイズも豊富。
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同軸落射照明
レンズの光路内に照明を組み込んだ独特な構成の照明。
微細な凹凸を検出したい時に使用する。
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リング・ドーム照明
周囲全体から照射して影を減らすことができる。
ハレーションが発生しやすい素材のものなどで活躍。
照射方法

画像処理を行う上で重要な要因の1つに照明の照射方法があります。照射方法を工夫することで検出したい欠点などが撮像しやすくなります。

Transillumination image001

透過照明

InspectSheet CAM1 001

反射照明

Coaxial illumination image001

同軸照明

明視野/暗視野観察
明視野観察

透過光/反射光を検出する。
視野は明るい。
蛍光灯下で物が見える時のイメージ。
模様等を見る時に適している。

光が進む向き
暗視野観察

散乱光/乱反射光を検出する。
視野は暗い。
見たい部分を浮きだたせるイメージ。
傷や異物を見る時に適している。

光が進む向き

I/Fボード(フレームグラバ―ボード)について

インターフェースボード(I/Fボード)やフレームグラバ―(frame grabber)とは、「画像処理ボード」や「ビデオキャプチャーボード」などと呼ばれることもある画像などの入力機能を備えた専用の組込用ボードです。
カメラからの信号を入力するインターフェース接続部分と、メモリを搭載したボード部分からなり、PCの拡張スロットに差し込んで使います。
ラインスキャンカメラで使用されるインターフェースの中では、CameraLinkとCoaXPressの場合にフレームグラバ―が必要です。
GigE VisionとUSB3.0はPCに直接接続でき、そこが大きなメリットでもありますが、フレームグラバ―があるからこそ便利なこともあります。
選定するポイントは下記3点になります。

20201002 check

カメラを何台使用するか確認

複数台カメラをつなぐときはチャンネル数が足りるよう、使用するカメラ台数をきちんと決めておきましょう。

20201002 img3
20201002 check

使用するコンフィギュレーション(CameraLink)、ラベル表示(CoaXPress)を確認

CameraLinkならBase, Medium, Full、CoaXPressならCXP-1, CXP-3など、
出力構成の仕様が細かく分かれています。
それによって使用するケーブルの本数がが変わるため前述の必要なチャンネル数も変わりますし、
フレームグラバ―もコンフィギュレーション/ラベル表示の転送速度に対応したモデルを選択する必要があります。

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20201002 check

パワーオーバー(カメラ給電)をするか確認

インターフェースを経由してカメラに給電したい場合は、対応しているフレームグラバ―を選ぶ必要があります。

画像処理コントローラ―について

画像処理コントローラにFA用PCを用いると、様々なシステムを構築することができます。

PCsys CAM many
PCsys CAM LINE AREA

FA用PCを選定するときの目安は下記になります。

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カメラの台数×2=CPUコア数
  • カメラ1つにつき、撮像に1コア/処理に1コアで合計2コア必要
  • 上記が4以下なら4コアを選ぶとよい(一番安価)
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画像処理のスピード=CPUクロック数
  • 画像処理の質/スピードを上げたいときはクロック数が高いものを選ぶ
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1回の画像処理に必要な容量(GB)×画像処理回数×4=メモリ容量
  • 画像処理1回(二値化で1回、ブロブ処理で1回と数える)につき、処理用/キープ用で2倍のメモリ容量が必要
  • 上記で算出したGB数の2倍あると安定して稼働できる
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AIを使うときはGPUボードの追加も検討
  • 使用するAIのVerにあったCUDA(GPUカードのドライバー)のものを選ぶ
  • モデル作成を行う場合はほぼ必須、作成されたモデルを使用した判定のみなら不要な場合もあり
  • AIの仕様によって使用できるGPUボードの種類が違うので、AIメーカーへの相談はマスト

画像処理ソフトウェアについて

ホワイトペーパーのダウンロード
DX化に乗り遅れるな!検査自動化への第一歩
画像検査の自動化のコツと
システム全体の構成ノウハウ

画像処理を行うソフトウェアには様々なものがありますが、大別して下記2種類に分けられます。

プログラミングソフト
  • コーディングによるプログラミングが必要
  • 対応するプログラム言語で構築すれば、どんな処理でも対応可能
  • NEDで取り扱っているのはMatrox Imaging Library
ビジュアルプログラミングソフト
  • フローチャート式などビジュアライズにプログラミングを行い、コーディングが不要
  • コーディングによるプラグインを使用しない場合は、ソフトに組み込まれている処理のみ使用できる
  • NEDで取り扱っているのはMatrox Design AssistantおよびNED製TechView

コーディングができる人材が豊富な場合や、非常に複雑な処理を行いたい場合はプログラミングソフトを、
コーディングができる人材に限りがあったり、フレキシブルな運用を求める場合はビジュアルプログラミングソフトを、
それぞれおすすめします。

ここではよく使われる画像処理について、解説します。

二値化 Binarization

二値化(binarization)は、画像のを白か黒のどちらかに分別して、文字通り白黒画像にする処理です。
通常のモノクロ画像だと、グレーの部分が含まれますが、それを白か黒かのどちらかに分けます。
FAX等文字認識では必須となる処理で、傷の部分だけ白くもしくは黒く浮かび上がれば、背景色と同化して分かりにくかったキズもすぐ見つけられます。
その時必要になるのがしきい値です。
画素値(連続的な光強度をデジタル化のため離散的な数値にしたもの)というデジタル画像のもとになる値があるのですが、どの画素値以上のところを白にするかを決めます。

binarize
image41

見つけたいものをしきい値の上限下限で挟む

しきい値には上限・下限があり、上限下限の間を輝度値255=白にし、それ以外の部分を輝度値0=黒にするのがです。
そのため見つけたいものをしきい値の上限下限で挟むと、それだけが白抜きで浮かび上がってきます。
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しきい値の上限/下限を255/0にできるか検討する

これは画像づくりの段階から想定しておいてほしい・・・という内容でもあるのですが、誤検知を減らすため、しきい値の上限を255で固定、もしくは下限を0で固定します。

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上のカニの画像だと、カニ自体が全体的に白っぽいので、上限を輝度値255(白)に固定して、下限を調整することでカニの検出が可能です。
画像づくりの段階で検討すべきは、背景と検出する対象の明暗がはっきりするようにしておくことです。
上の画像の場合だと背景色は黒に近いものにしておいた方が、下限値の値が楽に決められるようになります。
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同じ検査アプリの中で対象の輝度値は統一する

たとえば同じ検査を行う対象物の中で、種類違いのものがあったとします。
カニは白で検出するけど、クラゲは黒で検出する、ということをすると・・・
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ブロブ処理で検出した対象に青枠がつくのですが、白のカニに合わせてブロブ処理を設計すると、画像全体に青枠がついてしまっています。
黒のクラゲではなく背景を検出している状態です。
こういうことにならないためには、同じアプリ内で検出する対象は黒か白どちらかに統一しておくべき。
二値化後の検出がやりやすくなりますので、ご留意ください。

エッジ抽出 Edge Extraction

エッジ抽出(edge extraction)は、微分して隣の画素との差を求める処理です。
生成される画像のイメージとしては、写真が線画になる感じです。スマホのアプリで写真が絵になる加工がよくありますが、それはこのフィルタをかけているのでしょう。
この処理をそのまま行うと、ノイズも拾ってしまいますので、横は微分して縦は平滑化(差を少なくする処理)するなどなど、いろいろな工夫を施したフィルターが多数存在します。
何かの画像処理アプリケーションを利用されている場合は、下記フィルター名が出てきたらエッジ抽出の1つと思って試してみてください。
・プリューウィット(Prewitt)フィルタ
・ソーベル(Sobel)フィルタ
・ラプラシアン(Laplacian)フィルタ
・LOGフィルタ
などなどなど・・・。

sobel extra2

ブロブ処理 Blob Analysis

ブロブとは、塊という意味で、それぞれの塊について解析する処理ということです。
「どうやって塊を定義するか」という理論はいろいろあるものの、基本的には二値化すればはっきりしますので、
あまり問題はないことが多いです。
ブロブ解析はその塊1つ1つをチェックし(チェックすることをラベリングといいます)、
必要に応じていろんな分析をすることをまとめてブロブ解析と呼びます。

ブロブ処理 

パターンマッチング Pattern Matching

パターンマッチングとは、マスターデータと同じ形のものを抽出する画像処理手法です。
使用する画像処理ソフトウェアにより、手法に若干違いがあるものの、目的は同じで「類似部分を検出する」ことです。
NEDが取り扱っているMatrox Imaging Libraryを用いてご説明いたします。
パターンマッチング
輝度値の類似した空間分布を探します。
画像比較の万能選手で、濃淡差に強い手法です。
対象を切り出すだけで簡単にマスターパターンとして登録できるので、非常に簡単に使用できます。
処理が高速で、FPGA実装など選択肢が多いのも魅力の一つです。
ただ苦手分野もあり大きさ違い、一部欠損画像・不均一な照明下など、検出できない場合も存在します。
ジオメトリックモデルファインダー
マスターパターンのエッジを抽出し、撮像画像内で同じエッジパターンになるものを検出します。
回転やサイズ違い、一部欠損でも検出できる、左のパターンマッチングの苦手分野を克服した手法です。
欠点を同時に抽出できるのもよいところです。
CADファイルでの指定ができたりと使い勝手もよいですが、パターンマッチングよりは処理に時間がかかったり、実装に制限がでてくることもあります。
パターンマッチング
pattern

マスク処理 Masking

マスク処理とは、対象範囲外を輝度値0もしくは255で塗りつぶす画像処理手法です。
下の画像だと、目の部分以外のところを白(輝度値255)で塗りつぶしています。
逆に目の部分は検出から外したいという場合には目の部分のみ輝度値0で黒塗りにしたりすることも可能です。
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膨張収縮処理 Dilation/Erosion processing

膨張処理(Dilation)
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膨張処理は対象画素の近傍に白色の画素が1つでも存在すれば、対象画素を白色に置き換えます。
収縮処理(Erosion)
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収縮処理は対象画素の近傍に黒色の画素が1つでも存在すれば、対象画素を黒色に置き換えます。

この処理を組み合わせて繰り返し実行したり、することでノイズ成分の除去や対象の結合を行うことができます。

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文字認識 Character recognition

文字認識を使用するときは、そのツールがどのように文字を認識するのか、原理を理解したうえで選ぶ必要があります。
NEDが取り扱っているMatrox Imaging社のMatrox Imaging Libraryを使用した場合のことをご説明いたします。

【MILに搭載されている文字認識ツール】

OCR(※MILの場合)
テンプレートを画像として認識します。
テンプレートがABCだとすると・・・
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String Reader
登録しておいた文字列の幾何学的特徴を認識します。
アルファベット大文字を登録すると・・・
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SureDotOCR
インクジェットプリンタで作成されたドットマトリクステキストを読み取ります。
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この3つを見ていただければわかると思いますが、一口に文字認識といっても原理が全く違います。
そのため、下記のように使用用途に合わせて、使う文字認識の種類を変更する必要があります。
【同じ製品がずっと流れてくるラインの場合】
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向きが斜めになることはあれど、文字のフォントが変わる、隙間が空いてしまうといったことはないので、OCRでOK
【複数の製品が流れてくるラインの場合】
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分別する必要がある場合は、読み取るべき文字列に変化が生じるためString Readerを使うほうがよいです

輝度補正 Brightness correction

対象物の個体差によって、撮像条件をそろえても画像処理で同じ結果が出ない場合があります。
そういった場合に使用する画像処理が「輝度補正」です。
対象となる画像全体の平均輝度値を、基準輝度値になるように変換してから、検出にかけます。
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便利な処理ですが、デメリットもあります。

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欠陥のサイズが大き過ぎると、平均輝度値が正しく求められない。

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高速処理が必要な場合は、輝度補正の係数計算、画像全体への乗算のタクトプラスされ、タクトタイムに悪影響がでる。

メリットデメリット双方を検討したうえで使用してください。

強調処理 Emphasis processing

検出したいものと無視したいものの輝度差があまりない場合に使用します。
「基準に近い画素はあまり変化させず、基準から離れているほど変化量を大きくする」という処理を行います。
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この処理のデメリットは下記です。

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均一部分があまりにも少ない画像(基準輝度値が定まらないため)や、輝度値が多すぎる部分が存在する画像(変換後輝度値が閾値を超えてしまうため)には使用不可
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高速処理が必要な場合は、輝度補正の係数計算、画像全体への乗算のタクトプラスされ、タクトタイムに悪影響がでる。

上記は製品の並べ方や搬送速度の微調整で回避出来ることもあります。

ハイダイナミックレンジ High Dynamic Range

輝度値の違いが大きすぎ、検出のために条件違いで複数枚撮像が必要な場合に使用します。

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ノイズが多いカメラには使えない、複雑な検査には使えない、など制約もあります。

動的マスク処理 Active Masking

対象物が違う位置、違う向きで撮像される場合のマスク処理です。
画像を使用する範囲を動的に変化させます。
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動的マスク処理の方法は下のようになります。

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デメリットもあり、下記のような場合は使えません。

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欠陥のサイズが大き過ぎると、綺麗なマスク画像が作成できない

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回転しすぎていると斜め部分がガタガタになり、綺麗なマスク画像が作成できない

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マスク作成のタクトが余計に掛かり、高速処理が必要な場合は問題になることがある

メリットデメリットご検討の上、ご使用ください。